2019/04/29

Das Rheingold / ラインの黄金 


とうとう大西洋を渡ってMETへやってきてしまった…34年ぶりの合衆国。一般販売開始時には何千ユーロも出して座席指定もできないなんてとんでもないと行くつもりはなかったが、ジョルダン指揮のリングだし…この機会を逃したらもうこの後行く気にはならないかもしれないし…と思いなおし、去年の6月に当時残っていた席を取ったのだった。その時取った席は(アコースティックの悪さはもちろん上のバルコンが視界に入るのを知りつつも)ドレスサークルの最後列。だって他にチョイスがなかったんだもの。そして月日が流れ今年の2月だったかな?グランドティアに新たに席があるのを発見。すぐにMETのカスタマーサーヴィスに電話でアップグレードを依頼してその席を確保することができた。ラッキー

パリと同じくらいとは言えないけれども思いの外普通の服装の人が多い(スーツにスニーカーの男性多し)。そして平均年齢が高い…まるでTCEのようだわ。ホールは映像から想像していたほど巨大に見えないのは、高さがあるからかしら。それと正面バルコンの幅が広いから収容人数多くなるのね。パーテールの奥行きはどのくらいなんだろう?
しかしあれだ、音楽途中の拍手、ブレスレットのジャラジャラ音、携帯の呼び出し音(電話もメッセージも両方よ)、飴の包み紙のメリメリ音、お喋り…何でもありなのねw。あ、でも少なくとも私の視界にはフラッシュで写真ってのはなかった。



いやー、神々の行く末は厳しいわよー(まあ終焉が決まってるわけだけれども)。
序奏から何やら自信無げで危なっかしかったホルンが、やってしまった大cracそれもドンナーが雲を集めて雷のシーンっていう、いちばんやっちゃいけない部分で、観客がどよめくレベルの大crac…
動くたびにギシギシ軋まないけれどもパリパリ音のするマシン、みんなが登場を待ってるのに全然上がってこないエルダ…予定時間をかなり延長してようやく上がってきたけれども、これはみんな焦ったと思うわー(40秒という数字をどこかで見た)。
音楽的には、リングチクルスはメゾンの音楽監督が振らないと指揮者もオケもお互い難しいんだろうなーとしみじみ思ったわ。ほとんど起伏がなく面白みがなかったし、怠いというか緩い雰囲気が全体を覆っている。オケの音も響きももっと立体感あってゴージャスなのを想像してたが、ジャルダン側の席だったので金管はよく鳴って聞こえたけれども、弦は平坦で存在感が希薄なのでバランスがよくなかった。
でもソリストの歌唱は細部まで自然によく聞こえたので高性能のPA設置して精鋭の音響エンジニアがいるんだろうなー。ヴォータンが本当に囁くように歌ってる部分までも、すーっと自然に聞こえてくる。そのヴォータンは70%ザックス風味のヴォータンだったわ。北欧神話の如く、人間味溢れる神様!

演出は、リヴレに忠実でとても平易でわかりやすい。初めてリングを観る人にも違和感ないでしょう。あのマシーンの動きにも映像の美しさにも感心したけれど、そこまで、なのよ。ワーリコフスキ演出のレイディーマクベスを観たばかりの脳には物足りない。

Chef d'Orchestre : Philippe Jordan
Production : Robert Lepage
Décors :Carl Fillion
Costumes : François St-Aubin

WOGRINDE : Amanda Woodbury
WELLGUNDE : Samantha Hankey
FLOSSHILDE : Tamara Mumford
ALBERICH : Tomasz Konieczny
FRICKA :Jamie Barton
WOTAN : Michael Volle
FREIA : Wendy Bryn HarmerFASOLT : Günther Groissböck
FAFNER : Dmitry Belosselskiy
FROH : Adam Diegel
DONNER : Michael Todd Simpson
LOGE : Norbert Ernst
MIME :Gerhard Siegel
ERDA : Karen Cargill

席はグランドティア4列目9−11。ギシェにピックアップに行ったら封筒を2通渡されて”???”と開けてみたら、ひとつは最初に買ったドレスサークルのチケットの束だった。2つのチケット、同じデザインだけれども、紙質とフォントが違うのよ。