2014/04/15

Othello / オテロ @TCE

© Vincent Pontet

ジョン・オズボーンという人はポップスの歌手ですか?タイトルロール(いちおう)なのに、声は出ないし音程も正しい音を探し探し歌っているようで危ういったらない。パフォーマンスからするとこれは完全に「(バルトリの)デズデモーナ」という作品になる。
オテロは1幕はヘロヘロだったものの2幕3幕と持ち直して高音もパーンとプロジェクトされるようになったが、それでも自在に歌っているようには聞こえなかったし、7割位の出来だったのではないだろうか。声自体がザラザラと荒れていたので、ハードスケジュールの公演疲れが蓄積してきたのかなとも想像。
TCEのオペラはいつも日程がきついので、ソリストは大丈夫なのかなあと心配するのだ。バルトリも第三幕のアジリタが少し甘くなっていたが(しかしそれでも魅了される歌唱だ!)、リサイタルやコンサートではなくオペラセニックで彼女を観て聴けたのがなんといっても収穫。
それからバリー・バンクス。イアーゴにぴったりのキャラクター(演技巧い)、ソリッドな歌唱でピカリと光っていた。こういう歌い手好きだなー。
ロドリゴ役のエドガルド・ロチャ(ロシャ?)が大健闘。場面ごとにしっかりと歌い方を変えてくるし、ニュアンスのつけかたも巧い。声もロドリゴのキャラクターによく合っていてすごくいいキャスティングと思った。ただひとつ、アジリタがダメなんだなー。これはロッシーニ歌いとしてはかなりマイナスポイントでしょう。残念!このままではもったいないですゾ。
酷い黒点は指揮のスピノージとオケ(アンサンブル・マテウス)。音を細切れにアシェして個々の音にアクセントをつければロッシーニの音楽出来上がりというわけではない。前に進んでるのか立ち止まってるのか不明な指揮と、のっぺり平坦な音をétalerする弦、壊滅的な技術のホルンとクラリネット。そして全体が象のダンスのように重い!重過ぎるよ!

オテロというとまずヴェルディだが、ロッシーニのオテロも美しいアリアをもった良い作品だと思う。もっと上演の機会があればいいのに。

TCEのプログラムは5€も出してコレですか?みたいなものだが、このオテロとタンクレディはちゃんと対訳リヴレのついたプログラムに練習風景の写真集がついて10€というものだった。ロッシーニフェスティバルの公演分だけかしら。これからもこのスタイルで続けてくれればいいな。

Jean-Christophe Spinosi direction
Moshe Leiser, Patrice Caurier mise en scène
Christian Fenouillat décors
Agostino Cavalca costumes
Christophe Forey lumières

John Osborn Otello
Cecilia Bartoli Desdemona
Edgardo Rocha Rodrigo
Barry Banks Iago
Peter Kalman Elmiro
Liliana Nikiteanu Emilia
Nicola Pamio Le Doge
Enguerrand De Hys Un gondolier

Ensemble Matheus
Chœur du Théâtre des Champs-Elysées



2014/04/12

L'Italiana in Algeri / アルジェのイタリア女②

今夜のアルジェのイタリア女の舞台を観て思った。初日の「いかにも初日という感じのパフォーマンス」は、あれが初日だからではなくて、この公演のレベルなんだと。コミックで笑えて楽しいけれど、セルバンの謎な演出はどこまでも謎のままだし、コレグラフィやセノグラフィでリミット悪趣味だなと感じた部分はリミットではなく踏み越えているし、シラグーサ以外は歌唱で惹きつけるソリストがいない。

アブラハミヤンは声と歌い方がモッタリしていて軽快さがなくロッシーニ歌いではないと思う。彼女はキャラクター的にも元気の良いイザベラには向いていないんじゃないか。ジュリオ・チェーザレでコーネリアを歌った時の方が彼女の良さが充分に発揮されていた。
歌唱的にいちばん拍子抜けしたのはダルカンジェロ。アジリタになると声が空っぽになるというか、何も入っていないタッパーウェアを振っているような感じ。フォルテでバーンと出す声はいいのに…。加えて機敏さもなくて、これじゃロッシーニを歌うには難でしょう。コメディアンとしてはこの公演の座長クラスに面白いんだけど。
あとあれだ、いつも我関せずみたいな印象で求心力が感じられないフリッツァ。何回聴いても彼の指揮は好きになれない。

それからアザレッティがエルヴィーラだったが(確か前回も)、H&Aで素晴らしいラムールだった彼女がこの演出でエルヴィーラというのはなんだかもったいないような気がした。


昨夜ガルニエに、女性は黒のベルベットのロングドレス、男性は燕尾服に白いジレ&蝶ネクタイおまけに白い手袋を持つといういでたちのカップルが何組かいて驚いた。ONPでその服装なのはジョルダンくらいだからねーw。

Orchestra 251-253

2014/04/08

Tristan und Isolde / トリスタンとイゾルデ (Première) ① @Opéra Bastille

©Charles Duprat/ONP


羊飼いと水夫、ブレスリクが歌うということは…マルケ王はゼーリヒだし(これは元から)、魔笛コンビだわと思ったが、指揮はジョルダンなので今も公演が続いている魔笛トリオとなった初日のトリスタンとイゾルデ。ここでもブレスリクが聴けるとは思ってもいなかった幸運。

実はトリスタンとイゾルデ、どこに狙いを定めていいのか判らないし、どこを切っても同じ金太郎飴みたいなオペラだという印象を拭いきれない。いざ、モルフェの腕の中へ…!という気分でバスティーユへ向かった。
このトリスタンとイゾルデは先日亡くなったジェラール・モルティエの遺産。開演前にニコラ・ジョエルが追悼の辞を述べ、1分間の黙祷があった。

オケbyジョルダン、流麗でみずみずしいのは良いが、もう少しピリッとしたところがあればいいのに(第1幕直後のツイート)。あとアレだ、色気が足りないと思う。ちょっと真面目過ぎる感じなので(ひどい言い方をすれば、ラジオ体操のようなリズムで至極健康的に聞こえる)、もっと危うい、もっと刹那的な雰囲気を漂わせないとトリスタンとイゾルデにならない…!

ヴィオラの不思議ヴィデオ…私が困ったのはまず第1幕で顔を水につけるところで息苦しさを感じること、次に第2幕、アップでノイズが多くて何だかよく分からないものが際限なくモゾモゾ動く映像で「これ何だろう?」と気が散ってしまったこと。でも第三幕の水と火のシーンや逆回しで昇天していくイメージは音楽ととけあうようで本当に美しい。

マルケ王が愛していたのはトリスタンだったのか!!!!!こういう解釈をした演出は他にもあるのかしら?確かにリヴレを読むとトリスタンがマルケ王の恋人だったとしても全くおかしくない台詞であることが分かる。
ゼーリヒの驚愕と悲哀がこもった歌唱が素晴らしくてギューンとひきこまれ、”Mir dies?”の後は呆然としてしまうほど。

一方ディーンスミスのキャラクターなし感は特筆すべき。第3幕に備えて体力温存かと思いきや、残念なことに結局サービスミニマムに終わった。ただただパーティションをさらっていただけの印象。彼のパフォーマンスには力強さもエモーションもなかった。
それにくらべてウルマナの見事なこと!多分昨夏のプロムスでイゾルデを歌った時より調子がいい。最高音の方はちょっと無理矢理な感じがするけれど中音から高音にかけてのテシチュールは、イゾルデって実際こういう声だったんだワと納得してしまうような美しさ。トリスタンとの乖離が大きく、デュオとして絡み合って伝わってくるものがほとんどないのは残念。

歌唱でしっかり演じていたのがクルヴェナルのシュメッケンベッハー。第1幕ではイゾルデとブランゲーネを見下す粗野な面を、第3幕では主(かつ友)であるトリスタンを思い、心配し、焦る様子を歌唱だけであれだけ表せるんだなあと。

そしてブランゲーネのヤニナ・ベヒレの温かみのある声はイゾルデを優しく抱くように響いてイゾルデの侍女というより乳母のような印象を持った。第2幕の見張りの歌の美しさは月の映像とマッチして素晴らしい。これを左側のギャルリーで歌うのが空間の広がりを与えるとともに舞台上の2人の濃密さを増すように感じられる。
他にも第1幕では水夫のコーラスは右側ギャルリー後ろの廊下に、マルケ王登場時のコーラスはパーテール後ろの通路に(これをほぼ中央で聴いたのでものすごい爆音だった!)、第3幕の羊飼いやコールアングレなどもギャルリーを使っていた。

ソリストのディレクションはあってないようなもので、コンサートバージョンのように見えるこの演出で、ソリスト達は歌唱でどこまで役者になれるかの力量も試されていた感じがする。このために少し気になったのが、ソリスト達が曖昧な動きをする中でゼーリヒの演技が際立ってはっきりしていること。いい意味でアクセントになったと見ることもできるが、あれ以上際立つと過剰になってしまうだろう。

オケは第2幕第3幕とすすむにつれて、ラジオ体操感は消えて陶酔感のようなものが現れてきた。特に第3幕の前奏曲は「こんな音楽に誘われたらそりゃ夜の世界に行っちゃいたくなるわー」と思わせる。これから公演回数が進むにしたがってどんな風に熟していくかとても楽しみ。
いちばん拍手が大きかったのがジョルダン、次点がゼーリヒとウルマナ。演出グループから2人出てきたけどブーイングだった。このプロダクションはもう4回目なのに何故今更ブーイングするのか謎…。
カーテンコールが終わって外に出たらもう23時30分だった。久々の長丁場でしたな。

PHILIPPE JORDAN  Direction musicale
PETER SELLARS  Mise en scène
BILL VIOLA  Création vidéo
MARTIN PAKLEDINAZ  Costumes
JAMES F. INGALLS  Eclairages

ROBERT DEAN SMITH  Tristan
FRANZ-JOSEF SELIG  König Marke
VIOLETA URMANA  Isolde
JOCHEN SCHMECKENBECHER  Kurwenal
JANINA BAECHLE  Brangäne
RAIMUND NOLTE  Melot
PAVOL BRESLIK  Ein Hirt / Ein Junger Seemann
PIOTR KUMON  Ein Steuermann

2014/03/31

L'Italiana in Algeri / アルジェのイタリア女 (Première) ① @Palais Garnier

リンドーロがシラグーサに変更で嬉しい驚き!!!夏時間移行でボンヤリしてたのに、一気にシャッキリした。
最初のアリアの途中でちょっと危ないところがあってヒヤッとさせられたが(喉に何かひっかかって声自体出しづらそうなことに!)、後は持ち直したので安心した。やっぱり彼のイタリア声で聴くロッシーニは最高。

この日はソリスト、コーラス、オケに融合感がなく、芝居の流れがつかえるような印象で如何にもプルミエールですと貼り紙をしたくなるようなパフォーマンスだったし、セルバンの演出は例によって「?」な部分が多々あったけれど、そーんなこと全部吹っ飛ばされるくらい楽しかった。ロッシーニ万歳!

それにしてもこのパッパターチという称号、ブルジョワ・ジョンティオムに出てくる称号ママムーシとまるきり同じだと思う。まさかアイディア拝借ということもないだろうけれど、扱いは一緒。この頃のヨーロッパ人のトルコや北アフリカの異文化を見る目はこんな感じだったのかと見るのも面白いし、意味のない称号を与えられて喜ぶ凡人というのは普遍的に笑いの対象になるのだな、と。


ダルカンジェロを舞台で見るのは初めてかしら?と思ったら前回ONPで歌ったのは2002年で私がオペラを観はじめる前だった。昨日の演技はROHでのエスカミリオのイメージを完全に覆す完璧なコミックぶりで、あの大笑いの半分以上は彼のおかげ。あの茹でただけのようなスパゲッティ、不味そうだったなー(笑)。
あれ?私は芝居を観たのか、オペラを観たのか?むむむ…。


RICCARDO FRIZZA  Direction musicale
ANDREI SERBAN  Mise en scène
MARINA DRAGHICI  Décors et costumes
GUIDO LEVI  Lumières
NIKY WOLCZ  Chorégraphie

ILDEBRANDO D'ARCANGELO  Mustafà
JAËL AZZARETTI  Elvira
ANNA PENNISI  Zulma
NAHUEL DI PIERRO  Haly
ANTONINO SIRAGUSA  Lindoro
VARDUHI ABRAHAMYAN  Isabella
TASSIS CHRISTOYANNIS  Taddeo

2ème loges de côté 2

2014/03/27

La Bohème / ラ・ボエーム ② (キャストB)


「アタクシ、ディーヴァ様、女王様、アンジェラ様☆☆☆、たったひとりで起承転結いたしますわよ!」と高らかに宣言しているようなゲオルギューのパフォーマンス(笑)。20年もミミ歌ってますからねー。もうロボット相手でもあの演技ができるわ、彼女。
でも音程が定まらないような感じなのはやっぱり声が衰えているからじゃないかしら。舞台裏からの”Amour!”、最後は自棄になって放り投げたような声だったし。
そしてあのブレスの音、すごく気になる…。あれは肺病で死にそうな人ではなくて400mランナーが走った後の息づかいですぞ!
いくらお芝居が上手でも、オペラなんだからやっぱりまず歌唱をしっかりしないといけないですよねー。それに、ああいう演技は相手との意思の疎通が感じられないので如何なものかと思うワ。

しかし、「貧乏詩人だけど”ボエーム”だぜ!ヒーローだぜ!」に全力投球のベチャワはそんなこと気にもしてなかったんじゃないかな。というか気づきもしてなかったりして(爆)!
彼はアタックとフラゼがよくてプロジェクションもあり、気持ちよく聞かせるけれど、ソットヴォーチェになるといきなり「…実は…私の方が…結核なんです…」と歌い出すんじゃないかというほど、歌詞を支えきれないような頼りない声であららーという感じ。上のバルコンの人にちゃんと届いていたかしら?

ムゼッタはツァラゴワの方がいい。声にハリと艶があって、身のこなしや歌い方にも合っている。…と思っていたら、後からディストリビューションを見返して驚いた!ムゼッタは前回と同じKELEだったのね!余りにも声が違ったし、演技まで違って見えたので同じ人とは思わなかった。今日の方が格段に良かったです。初日は相当調子悪かったのかな。(確かにツァラゴワにしては背が大きいなーと思ったんだけど…)

彼らをまとめるオレンの指揮、一歩踏み間違えるとスキゾフレニー的なピドみたいになりそうだなーと思いながら見ていたが、ボリュームのコントロールがよく、ソリスト達の声がすべて聞こえたのは良かった。
あぁでもカフェ・モミュスのシーンの雑踏、雪の舞う第3幕の冒頭など、情景描写が鮮やかだった。こういうヴィジュアル感のある演奏は大好き。

そうだそうだ、今日はすごく珍しくスフラーがいた。ONPでは習慣としてないから、あの箱があると気になってすごく目障り。前回はファルスタッフの時にあったかな(セットの一部だったかもしれない)?

Aキャストと比べて、Bキャストのパフォーマンスにはシンパシーを感じないのにレベルは高いなと感じた。Aキャストはロドルフォとムゼッタが弱くてバランス悪く、パナッシュもなく「あれー?」と終わってしまったけれど、Bキャストはソリストがピカッとしてる感じだったし歌唱的にもバランス良くて安定感があった。
”AキャストかBキャストのどちらかをもう一度観られます”と言われたらどっちにしようかなー、と考えたが結局「どちらも結構です」と言いそうな気がする。
プッチーニにはそれほど思い入れのない証明かもしれない。

ANGELA GHEORGHIU  Mimi
PIOTR BECZALA  Rodolfo
BRIGITTA KELE  Musetta
LUDOVIC TÉZIER  Marcelle
ANTE JERKUNICA  Colline
IGOR GNIDII  Schaunard


PARTERRE 8-14

2014/03/15

La Bohème / ラ・ボエーム ① (Première / キャストA)

なんだかパナッシュに欠ける初日のラ・ボエームだった。
第1幕なんてソリストみんなバラバラに歌っている感じなうえ、オレンの指揮もモッタリした感じでキレがないからTuttiの部分などゴチャゴチャでとても聴きづらい。
おまけに最後の"Amore!"でミミの声がひっくり返って「みんな最後までこの調子だったらどうするのよ?!」とウンザリしたくらい。いやいや幸いにもそんなことはなく、アグレスタはしっかり持ち直してほぼ完璧なミミを歌い演じきった。彼女には昨年のエルヴィーラよりもミミの方が声もキャラクターも合っているのではないかしら。グリゼットな面とと純粋な面が違和感なく彼女の中に同居していて巧いなあと思った。

ロドルフォ役のセッコの声はきれいなイタリア声だがパワーがなくて(ホフマンの時の方が力強かった)テジエとのバランスが悪い。私、第4幕冒頭のデュオが大好きなのに、いまひとつ溺れられず残念…。
そしておそらく歌い慣れているのだろう、情熱的な部分は頭でコントロールされたように、さらりと歌い流す部分はルーティンワークのように見えて(聞こえて)しまい、あぁ巧いなと頷けても感動からは距離のあるパフォーマンスだった。それにしても相変わらずホフマンの時みたいにヨレヨレだわね、このヒトは(笑)。

ムゼッタの声は第2幕では表面が荒れたようで美しくない上にどの音を歌ってるんだかハッキリせず、練習不足かしらと訝ったほど。それでもしんみりとした第4幕では無理なく繊細に歌えていたし、演技も自然だったように思う。パリアッチでネッダを歌った時にはもっとツヤと張りのある声だったので、今日は調子が良くなかったのだと思いたい。次回に期待。

テジエのマルチェッロが歌唱の面で秀逸なことには疑いがなかったので(贔屓目かしらー?)ミュンヘンで役者に豹変していた彼の芝居をまず楽しみにしていたのだが、このマルチェッロのディレクションは(以前の)彼の躊躇いがちな演技そのものではと思ったくらい、見ていて無理なく自然。エンリーコやドンカルロでヒシヒシと感じた冷徹さは姿を消し、暖かさを感じさせるあの深みのある声(マルチェッロとしては人情味溢れる声と言った方がいいかも)!


オリジナルから年代を100年ほどずらした、久しぶりの写実的によく作り込まれたセノグラフィとクラシックな演出。まるでお芝居を観ているような演出が楽しめた。今時あまりこういうディレクションを与えられることもないだろうし、演じている方も楽しかったんじゃないかな。結構みんな自然な感じだった(特にテジエ!ちょっとオヤジ風味が入った若者だったけど)。今日で93回目のジョナサン・ミラーのこのmesも今シーズン限りで来シーズンはNPなんだわー。

DANIEL OREN  Direction musicale
JONATHAN MILLER  Mise en scène
DANTE FERRETTI  Décors
GABRIELLA PESCUCCI  Costumes
GUIDO LEVI  Lumières

MARIA AGRESTA  Mimi
STEFANO SECCO  Rodolfo
BRIGITTA KELE  Musetta
LUDOVIC TÉZIER  Marcello
ANTE JERKUNICA  Colline
IGOR GNIDII  Schaunard


PARTERRE 13 29-31

2014/03/11

Die Zauberflöte / La Flûte enchantée / 魔笛 (Première)



魔笛の初日、久しぶりにすごく楽しい芝居を観ている感じ!
バーデン・バーデンと同じ演出だが、そこここに変更がある。登場の仕方、ピアニカは消滅等々(他にもあるはずだから後で録画を観てチェックしよう)。

これは本当に観て聴くべき魔笛!目にも耳にも心にも!バーデン・バーデンの公演を録画で何回か観たとはいえ、そして実際に観るのが何より、と判ってはいても、ここまでjubilatoireだとは!

ザラストロのゼーリヒを要にとてもよくバランスの取れた理想的なソリスト達(モノスタトスが軽過ぎるような物足りなさはあったが)、彼らは芝居も巧く、演出の力もあって観客をあっというまに魔笛の世界に引き込む。
パパゲーノが客席からパンフルートを吹きながら登場する時がその瞬間だ。歌い手が客席から登場という演出は珍しくもないが、観客も魔笛の世界観の中に含みこまれ(ライティングが効果的)、それが至極当然のように感じられる。そして最後には私たち全員が白い服になってinitiésの仲間入りを許されたような錯覚にとらわれ、終演時のあの喜びに満ちたホールの雰囲気(バスティーユでは稀な気がする)をつくりあげているのだろう。

カーセンもジョルダンもみーんな裸足(笑)

夜の女王のアリア、オペラ好きでなくても絶対知っているこのアリア、メロディーが流れ始めたらホールの空気がサーッと変わって、観客が前傾姿勢で「…くるぞ…くるぞ…」と待ちかまえている雰囲気(笑)。ロールデビュー、かつポストドゥセで嘱望されるドゥヴィエル(20年前カーセンがエクスで魔笛を演出した時に夜の女王を歌ったのがドゥセで彼女も同じく28歳だったそうだ)、ONP初登場だし大役に緊張していたと思うが(第1幕のアリアでは表面こそ柔らかさを纏っていたが、その下の硬さがありありと感じられた)驚くべきピアノの美しさと滑らないコロラチューラ(第1幕のアリアのトリルも)で乗りきり、大きな拍手を受けていた(復讐のアリアの後はすぐに下がってしまうので観客は見えない彼女に拍手をおくるわけだが)。最高音からの部分(ファ・ド・レ・シ)の2回目を正しい位置に置ききれなかったところは今後の課題。

誰を助けるかによって、その人物と同じ衣裳になる3人の男の子、今まで観てきた魔笛の中で迷わず1番をつけたい!彼らは将来どんなソリストになるか(ならないか)楽しみだ。


そしてオーケストラの音色の軽やかさ、爽やかさ、室内楽的なインティメートな音とそこに効果的に流れる透明感のあるシンフォニックな響き(バルコンでどのように聞こえたかは判らないけれど)!プルミエールなのでそこここに微妙なズレがあったけれど、回を重ねるにつれて改善されて行くでしょう。あと2回観るけれど、最終回も観たいので要検討。これ、どこかが録音しないのかしら?!するべきだわー!

Philippe Jordan
Direction musicale

Robert Carsen
Mise en scène

Michael Levine
Décors

Petra Reinhardt
Costumes

Robert Carsen / Peter Van Praet
Lumières

Martin Eidenberger
Vidéo

Ian Burton
Dramaturgie

Patrick Marie Aubert
Chef de Choeur

Pavol Breslik

Tamino
Eleonore Marguerre

Erste Dame
Louise Callinan

Zweite Dame
Wiebke Lehmkuhl

Dritte Dame
Daniel Schmutzhard

Papageno
Regula Mühlemann

Papagena
Franz Josef Selig

Sarastro
François Piolino

Monostatos
Julia Kleiter

Pamina
Sabine Devieilhe

Königin der Nacht
PARTERRE 8-14