2014/03/15

La Bohème / ラ・ボエーム ① (Première / キャストA)

なんだかパナッシュに欠ける初日のラ・ボエームだった。
第1幕なんてソリストみんなバラバラに歌っている感じなうえ、オレンの指揮もモッタリした感じでキレがないからTuttiの部分などゴチャゴチャでとても聴きづらい。
おまけに最後の"Amore!"でミミの声がひっくり返って「みんな最後までこの調子だったらどうするのよ?!」とウンザリしたくらい。いやいや幸いにもそんなことはなく、アグレスタはしっかり持ち直してほぼ完璧なミミを歌い演じきった。彼女には昨年のエルヴィーラよりもミミの方が声もキャラクターも合っているのではないかしら。グリゼットな面とと純粋な面が違和感なく彼女の中に同居していて巧いなあと思った。

ロドルフォ役のセッコの声はきれいなイタリア声だがパワーがなくて(ホフマンの時の方が力強かった)テジエとのバランスが悪い。私、第4幕冒頭のデュオが大好きなのに、いまひとつ溺れられず残念…。
そしておそらく歌い慣れているのだろう、情熱的な部分は頭でコントロールされたように、さらりと歌い流す部分はルーティンワークのように見えて(聞こえて)しまい、あぁ巧いなと頷けても感動からは距離のあるパフォーマンスだった。それにしても相変わらずホフマンの時みたいにヨレヨレだわね、このヒトは(笑)。

ムゼッタの声は第2幕では表面が荒れたようで美しくない上にどの音を歌ってるんだかハッキリせず、練習不足かしらと訝ったほど。それでもしんみりとした第4幕では無理なく繊細に歌えていたし、演技も自然だったように思う。パリアッチでネッダを歌った時にはもっとツヤと張りのある声だったので、今日は調子が良くなかったのだと思いたい。次回に期待。

テジエのマルチェッロが歌唱の面で秀逸なことには疑いがなかったので(贔屓目かしらー?)ミュンヘンで役者に豹変していた彼の芝居をまず楽しみにしていたのだが、このマルチェッロのディレクションは(以前の)彼の躊躇いがちな演技そのものではと思ったくらい、見ていて無理なく自然。エンリーコやドンカルロでヒシヒシと感じた冷徹さは姿を消し、暖かさを感じさせるあの深みのある声(マルチェッロとしては人情味溢れる声と言った方がいいかも)!


オリジナルから年代を100年ほどずらした、久しぶりの写実的によく作り込まれたセノグラフィとクラシックな演出。まるでお芝居を観ているような演出が楽しめた。今時あまりこういうディレクションを与えられることもないだろうし、演じている方も楽しかったんじゃないかな。結構みんな自然な感じだった(特にテジエ!ちょっとオヤジ風味が入った若者だったけど)。今日で93回目のジョナサン・ミラーのこのmesも今シーズン限りで来シーズンはNPなんだわー。

DANIEL OREN  Direction musicale
JONATHAN MILLER  Mise en scène
DANTE FERRETTI  Décors
GABRIELLA PESCUCCI  Costumes
GUIDO LEVI  Lumières

MARIA AGRESTA  Mimi
STEFANO SECCO  Rodolfo
BRIGITTA KELE  Musetta
LUDOVIC TÉZIER  Marcello
ANTE JERKUNICA  Colline
IGOR GNIDII  Schaunard


PARTERRE 13 29-31