© Vincent Pontet |
ジョン・オズボーンという人はポップスの歌手ですか?タイトルロール(いちおう)なのに、声は出ないし音程も正しい音を探し探し歌っているようで危ういったらない。パフォーマンスからするとこれは完全に「(バルトリの)デズデモーナ」という作品になる。
オテロは1幕はヘロヘロだったものの2幕3幕と持ち直して高音もパーンとプロジェクトされるようになったが、それでも自在に歌っているようには聞こえなかったし、7割位の出来だったのではないだろうか。声自体がザラザラと荒れていたので、ハードスケジュールの公演疲れが蓄積してきたのかなとも想像。
TCEのオペラはいつも日程がきついので、ソリストは大丈夫なのかなあと心配するのだ。バルトリも第三幕のアジリタが少し甘くなっていたが(しかしそれでも魅了される歌唱だ!)、リサイタルやコンサートではなくオペラセニックで彼女を観て聴けたのがなんといっても収穫。
それからバリー・バンクス。イアーゴにぴったりのキャラクター(演技巧い)、ソリッドな歌唱でピカリと光っていた。こういう歌い手好きだなー。
ロドリゴ役のエドガルド・ロチャ(ロシャ?)が大健闘。場面ごとにしっかりと歌い方を変えてくるし、ニュアンスのつけかたも巧い。声もロドリゴのキャラクターによく合っていてすごくいいキャスティングと思った。ただひとつ、アジリタがダメなんだなー。これはロッシーニ歌いとしてはかなりマイナスポイントでしょう。残念!このままではもったいないですゾ。
酷い黒点は指揮のスピノージとオケ(アンサンブル・マテウス)。音を細切れにアシェして個々の音にアクセントをつければロッシーニの音楽出来上がりというわけではない。前に進んでるのか立ち止まってるのか不明な指揮と、のっぺり平坦な音をétalerする弦、壊滅的な技術のホルンとクラリネット。そして全体が象のダンスのように重い!重過ぎるよ!
オテロというとまずヴェルディだが、ロッシーニのオテロも美しいアリアをもった良い作品だと思う。もっと上演の機会があればいいのに。
TCEのプログラムは5€も出してコレですか?みたいなものだが、このオテロとタンクレディはちゃんと対訳リヴレのついたプログラムに練習風景の写真集がついて10€というものだった。ロッシーニフェスティバルの公演分だけかしら。これからもこのスタイルで続けてくれればいいな。
Jean-Christophe Spinosi direction
Moshe Leiser, Patrice Caurier mise en scène
Christian Fenouillat décors
Agostino Cavalca costumes
Christophe Forey lumières
Moshe Leiser, Patrice Caurier mise en scène
Christian Fenouillat décors
Agostino Cavalca costumes
Christophe Forey lumières
John Osborn Otello
Cecilia Bartoli Desdemona
Edgardo Rocha Rodrigo
Barry Banks Iago
Peter Kalman Elmiro
Liliana Nikiteanu Emilia
Nicola Pamio Le Doge
Enguerrand De Hys Un gondolier
Ensemble Matheus
Chœur du Théâtre des Champs-Elysées