2014/03/27

La Bohème / ラ・ボエーム ② (キャストB)


「アタクシ、ディーヴァ様、女王様、アンジェラ様☆☆☆、たったひとりで起承転結いたしますわよ!」と高らかに宣言しているようなゲオルギューのパフォーマンス(笑)。20年もミミ歌ってますからねー。もうロボット相手でもあの演技ができるわ、彼女。
でも音程が定まらないような感じなのはやっぱり声が衰えているからじゃないかしら。舞台裏からの”Amour!”、最後は自棄になって放り投げたような声だったし。
そしてあのブレスの音、すごく気になる…。あれは肺病で死にそうな人ではなくて400mランナーが走った後の息づかいですぞ!
いくらお芝居が上手でも、オペラなんだからやっぱりまず歌唱をしっかりしないといけないですよねー。それに、ああいう演技は相手との意思の疎通が感じられないので如何なものかと思うワ。

しかし、「貧乏詩人だけど”ボエーム”だぜ!ヒーローだぜ!」に全力投球のベチャワはそんなこと気にもしてなかったんじゃないかな。というか気づきもしてなかったりして(爆)!
彼はアタックとフラゼがよくてプロジェクションもあり、気持ちよく聞かせるけれど、ソットヴォーチェになるといきなり「…実は…私の方が…結核なんです…」と歌い出すんじゃないかというほど、歌詞を支えきれないような頼りない声であららーという感じ。上のバルコンの人にちゃんと届いていたかしら?

ムゼッタはツァラゴワの方がいい。声にハリと艶があって、身のこなしや歌い方にも合っている。…と思っていたら、後からディストリビューションを見返して驚いた!ムゼッタは前回と同じKELEだったのね!余りにも声が違ったし、演技まで違って見えたので同じ人とは思わなかった。今日の方が格段に良かったです。初日は相当調子悪かったのかな。(確かにツァラゴワにしては背が大きいなーと思ったんだけど…)

彼らをまとめるオレンの指揮、一歩踏み間違えるとスキゾフレニー的なピドみたいになりそうだなーと思いながら見ていたが、ボリュームのコントロールがよく、ソリスト達の声がすべて聞こえたのは良かった。
あぁでもカフェ・モミュスのシーンの雑踏、雪の舞う第3幕の冒頭など、情景描写が鮮やかだった。こういうヴィジュアル感のある演奏は大好き。

そうだそうだ、今日はすごく珍しくスフラーがいた。ONPでは習慣としてないから、あの箱があると気になってすごく目障り。前回はファルスタッフの時にあったかな(セットの一部だったかもしれない)?

Aキャストと比べて、Bキャストのパフォーマンスにはシンパシーを感じないのにレベルは高いなと感じた。Aキャストはロドルフォとムゼッタが弱くてバランス悪く、パナッシュもなく「あれー?」と終わってしまったけれど、Bキャストはソリストがピカッとしてる感じだったし歌唱的にもバランス良くて安定感があった。
”AキャストかBキャストのどちらかをもう一度観られます”と言われたらどっちにしようかなー、と考えたが結局「どちらも結構です」と言いそうな気がする。
プッチーニにはそれほど思い入れのない証明かもしれない。

ANGELA GHEORGHIU  Mimi
PIOTR BECZALA  Rodolfo
BRIGITTA KELE  Musetta
LUDOVIC TÉZIER  Marcelle
ANTE JERKUNICA  Colline
IGOR GNIDII  Schaunard


PARTERRE 8-14