1回観れば満足だろうと考えていたジークフリートだったが、ミラノでヴァルキリーを観た後でジークフリートを観るのは道理じゃないかとチケットを手配。
作品としては、ジークフリートがノートゥングを鍛え直し、ファフナーを倒し、ブリュンヒルデを目覚めさせる、というたったこれだけの簡単極まりないストーリーなのに、なぜあれだけこねくり回したシナリオになっちゃうんだろうか…。
まぁリングはラインの黄金はさておき、後の3作品は既に語られたことを何度も繰り返すというシステムになっているから仕方がないと言えば仕方ないけれども。
ここで何故既に知った事実を同じライトモチーフを使って繰り返し繰り返し聞かされて飽きないのか、という疑問も浮かぶが、ここがヴァグナー好きとヴァグナー嫌いに分かれる分岐点となるのだろう。何回か聴いているとそのメロディーの意味するところが理解できるという事実に快感を覚える人はヴァグナー好きになるだろうし、くどくて聴いていられないという人は嫌いになるだろうから。
さて今日の公演はと言えば、4月の印象がそっくりそのまま甦ってきたような感じだった。ジークフリートなだけに、出番の多いケールのダメさ加減が異様に目立った公演となってしまい、残念。
いくら声がいいとは言っても、プルミエバルコンの1列目に聞こえてこないのではお話にならない。ヴァルキリーでジークムント役だったスケルトンをジークフリートに据えるべきだっただろう、とも考えたけれど、このプロダクションの、この救い難いほど能天気なジークフリートはケールのニンにぴったり合っている。
そしてスケルトンでは彼の持つかすかな暖かみのある陰が役を嘘っぽくしかねないということに思い当たった。難しいですね、ジークフリート。
彼が全くダメなので、舞台上は全体的に要の緩んだ扇のようなイメージ。
第3幕でリンダ・ワトソンがキリリと締めても時既に遅しで取り返せない感じだった。ワトソンはこの間の神々の黄昏ほどのパフォーマンスではなかったが残念と言うほどでは全くない(前回が非常に良かったので)。
でも、いい席を手配して痛い脚を引きずって出かけて大損だったかと言うとそうではなく、やはりオーケストラbyジョルダンのパフォーマンスを充分楽しんできた。
特にブリュンヒルデが目覚めるところの弦の細やかさなど、鳥肌モノの素晴らしさ。全体的にみると神々の黄昏で感じられたレベルではないなぁと感じられたのも事実であるが…。
それに今日は2回のアントラクトにそれぞれおやつがついていて、それも楽しかった(笑)。
おやつ引換券 |
1回目のアントラクト |
2回目のアントラクト |