「マダムピオは体調不良のため今日の公演をキャンセルでせざるをえなくなりました。代役にマダムチョイが入ります。」うわー、残念無念...!
しかし一旦彼女のパフォーマンスを観たら残念どころではなかった。彼女はしっかりした実力派のソプラノである。第2幕の最後のアリアなど、溢れる情感がホールの隅々にまで満ちている。
チェーザレと我が身に降る不運を切々と歌い(オーバーにならない分、リアリティが増す)、悲しみと絶望感に打ちひしがれた様子があまりにも真に迫って演技には見えず。
本来このアリアの後に第9場があるが、この演出では第9場が第3幕の最初におかれているので第2幕はこのアリアで幕がおりて場内のライトがつく。クリネックスもハンカチも足元のバッグの中で(またか!)1階ロジュの最前列で泣き顔をさらすまいと少し焦った。
前後するが第2幕最初の方、額の中で歌う"V'adoro, pupille,"の声の良さに惚れ惚れ。
珠のような声とはまさにこういう声だろう。つやがあって清らかだがチェーザレを落とそうという策略をかすかに秘めている感じがする。早いパッサージュのところで音が滑ったり低音があまり響かなかったり、ブレスのタイミングが悪いのか息切れかと思わせるところが少々あった…が、が、が、そんなことを掃き飛ばすような素晴らしいパフォーマンスでした。ピオには気の毒だが今日はチョイを聴けて幸運だった!
ザッゾは前回の方がよかった。前回を94点とすると今日は76点くらいかな(あくまでもイメージ)。全体的に声を少しセーブして慎重にコントロールしながら歌っている感じ。それでも私は彼の声が聴ければそれで満足。
今日の「目が点」はデュモー。何か特別ハッピーなことがあったのか、最初から最後まであの弾けようは何だったんだろう?コーネリアに迫る時、普段は履いたままのあの巻きスカートみたいなのまで脱いでパンツ1枚(+首飾り)になるとは…!彼の場合、これだけはしゃいでも歌唱が疎かにならないところがいいですナ。来々シーズンのヴェニスに死すに出演のプロノスティックが出ているが、ぜひ他の役でも観たいもの。
水曜日にトルステン・ケールのリサイタルに来るけれど、ガルニエでの今シーズンのオペラは今日でお終い。ラ・シルフィードを観に来るかどうかは今のところ未定。
1er Loges de face 36 1-2