2013/08/05

神々の黄昏の演出 1/6(序幕)


舞台手前上手にブリュンヒルデ、ジークフリート、ヴォータンの持ち物と言える楯、剣、二分された槍などが置かれている。車椅子に座った少年に乳母と思しき黒づくめの女性(ボネを被り顔もヴェールで覆っている)が剣を渡すが少年はそれを彼女に返す。次に彼女は地球儀らしきボールを渡し、車椅子を押してぐるりと舞台を3/4周して退場。
□序幕□

ホリゾントには後ろからオレンジ色のライトで町のシルエットがボンヤリと黒く映っている。スクリーンとして使われるグリル上の縦長の大きなパネル、その横にテーブルと椅子が2脚(1脚は倒れている)。舞台手前下手に黒いシートのかかった何かがある。
3人のノルンの舞台上の演技が何を示しているのかほとんど解らない。舞台上の回転する巨大な円の内側で、黒いワンピースに黒のパンプスに黒のバッグ、黒のサングラスという黒づくめの装い(お揃いではない)で、椅子にぶつかったり、両手を探るような様子で前に出して歩いたりと、終始盲目と思われる立ち居振る舞い。
これは混乱によって見通しがきかなくなっていることを示すのだろうが、アルベリヒがこれからどうなるかという問いに続く不透明な未来について語る場面なら理解できるが、これまで起きたことを語るのに合った演出ではない。
そして運命の綱はなく、それが切れるのは手をつないで並んだ3人が手を離してバラバラに倒れることで示されるが、中学生の創作ダンスレベルではないか…。
そしてこの3人(おそらく舞台袖で交代しているが、装いはノルンのもの)が舞台奥に立ったままジークフリートの旅立ちとなり、その場でラインの乙女の衣裳(ラインの黄金で着ていたアレ)に着替えるのが不思議。着替えの途中で旅立ちのジークフリートに手を振ったりもする。
このジークフリートの旅立ちの部分がなんともシャビーで唖然とする。
というのはグラーネがたてがみ一本たりとも出て来ず、旅立ちの足は緑色のプラスチック製と思われる手漕ぎボートなのである!組み立てたオールを振りかざして「その指輪を得るためにドラゴンを倒した」などと歌われても、困惑するよりほかない…。
そればかりかブリュンヒルデがオールで漕ぐ真似をしながら乗っているボートにロープを結わえ付けて引っぱったりするのだ(唖然)。そして彼女が下りた後のそのボートを引っぱり回して退場→旅立ち、ということになる。

そしてジークフリートのラインへの旅の音楽の間で舞台上で繰り広げられるのはオクトーバーフェストか何かの準備でしょうかね。
パネルに水面が投影され、その後ろでノルン転じてラインの乙女がちょっとしたコレを披露している間、あのテーブルとベンチを持ってきて並べて踊る赤いワンピースに緑のタブリエで女装した10人の男子って何?テーブルとベンチを並べ終わると上から色とりどりのメタリックカラーのリボンがサラサラサラサラーッという音とともに何十本(何百本)も下りてきて、赤いワンピース姿の彼らがスカートをまくってペチコートを見せながら踊るのがちっとも可愛くない。可愛くないどころはグロテスクだ。
どうして彼らが女装しなきゃいけないのか、ジークフリートでファフナーのシーンで出てくる裸体男子に増して謎は深まるばかり。
何で、ホント、どうしてなの?教えて欲しい。