ジークフリートの指輪をめぐって2人が争いハーゲンがグンターを殺すシーン、舞台下手にいるハーゲンが車椅子に座ったまますぐ側に立つグンターを絞殺して突き放し、ハーゲンはその勢いで舞台袖に転がって退場という形になるが、ここはどうしても「こうするより他に手がなかった」という印象が拭えない。
また例の「ハーゲンがジークフリートの指から指輪を取ろうとすると、ジークフリートの腕が持ち上がる」というシーンはないし、"Her den Ring!"と言ってもハーゲンはその場から動かない。
また例の「ハーゲンがジークフリートの指から指輪を取ろうとすると、ジークフリートの腕が持ち上がる」というシーンはないし、"Her den Ring!"と言ってもハーゲンはその場から動かない。
ブリュンヒルデはパネルの前に立ち、ほぼこの場所を動かずに最期を迎える。動くのはジークフリートの指輪を取りに行く時、火を放つためにパネルの左隅にかがむ時。彼女の独り舞台なので家臣たちが薪を積むこともないし、ここでもグラーネは出て来ないので、序幕のジークフリートの旅立ちのシーンと同じように歌詞が完全に浮いてしまう。炎に飛び込むシーンはパネルに向かって両手を広げてはりつく動作で表され、炎の映像上で黒いシルエットとなって浮かび上がる。
ここでこのリングプロダクション最悪のシーンが!スクリーンに大階段にいる神々とブリュンヒルデの頭上にピストルのようなものが映し出され(ピストルを持つ手は見えない)、神々はこのピストルで射殺されるという、神々の終焉はテレビゲームの画面で表されるのだ。最期に大きな球状のラインゴールドが転がってきて、それに弾が当たって砕け散る…。こんなにアイディア皆無でバカげた、そして観客をバカにしたような演出があるだろうか?!
奥のホリゾントに序幕と同じシルエットが浮かび、パネルはそのまま(パネルを挟んでブリュンヒルデとジークフリートが倒れている)、舞台後方に砕けたラインゴールドの大きな破片(パネルと破片は序幕と同じ回転プレートにのっている)ラインの3人娘が現れて、大喜びで指輪をブリュンヒルデの指から外し、ラインの中に戻っていこうとすると、そこで "Zurück vom Ring!" と飛び出してくるのはアルベリヒ。
一瞬指輪を手にするものの、あっという間に取り返され、ラインゴールドの破片の裏側でラインの3人娘の1人に槍で突き殺される。この時点では破片の裏側だが、プレートが回って正面にくると破片の前に槍に貫かれて倒れているアルベリヒの亡骸がある。このシーンはテトラロジー "Der Ring des Nibelungen" を締めくくるのにふさわしい。