2013/10/20

AIDA / アイーダ⑵(@Opéra Bastille)

初日のAキャストに続くBキャスト。本来はロバート・ディーン・スミスがラダメスだったが、前日のONPのツイートで知らされたように彼はキャンセルし、全く未知の代役が歌った。それにしてもCeleste Aidaからしていただけない。あんなにブツ切りにするとは息が続かないのだろうか?まず声で魅了することが無理ならばせめて美しいレガート、はっきりとしたディクションなどを確立しておくべきだと思うが、それも望むべくもないパフォーマンス。スロースターターでクレッシェンドに良くなっていくかという願いも途中で空しく消えた。あるのかないのか解らないような演技のディレクションも彼の脚を引っ張ったと言える、中途半端なパフォーマンスの見本のようだった。

ボチャロヴァのキャラクターとプレゼンスはアムネリスに合っていると思うし、声のプロジェクションもよいけれど、何故か「いや違うでしょう」という印象がぬぐい去れない。おそらく「アイーダの主役は私だから!よく見てちょうだい!」という意気のようなものがゴリ押しのように感じられて辟易させられたのかもしれない。しかし最後の "...pace.." にまったく祈りが感じられないのは致命的じゃないだろうか。

そのタイトルロールのガルシア。彼女の声と歌唱はすごくイノセントな響きをみせることがあって、それが囚われの身の”王女”というノーブルさを感じさせる。下手をすると「ワタシここで何やってるのかしら?」と実際に自問しているのではないかと思わせるほどだ。そして彼女の声にはニュアンスがあり、戸惑いや悲しみなどの感情が声を通して伝わってくるのがよい。またそれがいたって自然で無理がない。ピアニッシモで長く保ちきれずに終わってしまっても、それがアイーダの心の弱りを表しているように聞こえるほどである。アルヴァレスとのペアで聴きたかった、本当に!

意外といっては失礼だが今日の舞台的なプレゼンスの筆頭になるのはラムフィスのスカンディウッツィ。王も兵士も神官(このmesでは司教?)もすべてを睥睨するかの如き朗々とした威厳のある歌唱、堂々としたプレゼンス、相対的にみて株が上がったのかもしれないけれど、この役でこれだけ満足させられることもそれほどないと思う(笑)。

この公演でアイーダを終わるのはどうしても我慢がならないので、もう一度Aキャストの公演を観に行くことに。まったく散財の種が尽きない…。

Carlo Cigni  Il Re
Elena Bocharova   Amneris
Lucrezia Garcia   Aida
Zwetan Michailov   Radamès
Roberto Scandiuzzi   Ramfis
Sergey Murzaev  Amonasro
Elodie Hache  Sacerdotessa
Oleksiy Palchykov  Un Messaggero



PARTERRE 13 20-22