グルックがこの音楽で何をしたかったか理解することはできなかったが、ミンコフスキーの指揮するオーケストラのアンサンブルが緻密でしなやかな、時に絹、時にカシミア、時にサテンといったような様々なテクスチャーの音を堪能した。
開演前に「本日ソフィー・コシュとヤン・ブーロンは不調ですが、2人とも舞台に立つことを了承してくれました」というアナウンスがあり、結果としてはやはり2人とも不調だった感は否めない。
ミンコフスキーが非常によく気をつけてソリストを助けていたので破綻せずにすんだが、何と言うかこう考え考えコントロールして歌っているようで伸びやかさがなく、聴いている方は安心して音楽に身を投じることができない。おまけに演技がとってつけたようで印象を更に悪化。
フランク・フェラーリ演じるエルキュールがマジシャンなのも安っぽい。棒から造花の花束出したり、上着からコロンブ(本物)出したり、アルセストが戻って来る時にはキラキラ光る粉を撒いたり。ドゥルカマーラじゃないんだから…!ザルツブルグのデュモーを観た時にも思ったが、演技力のあるソリストに悪趣味な演技をつけられると、どこをどのようにアプリシエートしたらよいのか本当に困る。
ミンコフスキーが非常によく気をつけてソリストを助けていたので破綻せずにすんだが、何と言うかこう考え考えコントロールして歌っているようで伸びやかさがなく、聴いている方は安心して音楽に身を投じることができない。おまけに演技がとってつけたようで印象を更に悪化。
演出は…左右に開く巨大な黒板に絵を描いたり消したりする人々に気を取られてしまうことと、それが梯子と一緒に(私が感じるには)不必要に絶えず開いたり閉じたりするので煩わしい。第2部でピットを地獄として使いたいためにオケを舞台に上げるというのも、簡単過ぎる気がする…。
あの蛍光灯がまぶしくて目が眩んだ。日本のスーパーやドラッグストアもそうだけれど、明るすぎて眉間がクァーンとして不快になる。
「死の床」風な白い病院のベッドのようなのも何とも微妙な感じ。白いロングドレスに黒いダブルのロングコートというのも見飽きた衣裳だ。他の衣裳もいたって普通で代わり映えしないもの。「死」を表す黒い衣裳を着て踊る人もどこかのタンホイザーの演出で出てきたダンサーを思わせた。こちらは1人だけで衣裳は長いスカートになっていたけれども。
ということで、アイーダの演出がどんなものに仕上がっているのか、不安が増す…。
ということで、アイーダの演出がどんなものに仕上がっているのか、不安が増す…。
Marc Minkowski
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Direction musicale
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Olivier Py
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Mise en scène
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Pierre-André Weitz
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Décors et costumes
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Bertrand Killy
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Lumières
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Yann Beuron Admète
Sophie Koch Alceste
Jean-François Lapointe Le Grand Prêtre d’Apollon
Stanislas de Barbeyrac Evandre / soli ténor
Florian Sempey Un Hérault d’armes, Apollon
Franck Ferrari Hercule
Marie-Adeline Henry Coryphée / soli soprano
François Lis L’Oracle, Un Dieu infernal
Bertrand Dazin Soli alto
Sophie Koch Alceste
Jean-François Lapointe Le Grand Prêtre d’Apollon
Stanislas de Barbeyrac Evandre / soli ténor
Florian Sempey Un Hérault d’armes, Apollon
Franck Ferrari Hercule
Marie-Adeline Henry Coryphée / soli soprano
François Lis L’Oracle, Un Dieu infernal
Bertrand Dazin Soli alto
Choeur et Orchestre des musiciens du Louvre Grenoble
PARTERRE 342-344
ガルニエの上で竪琴を掲げているのがアポロンだと知る人と知らない人の割合はどのくらいのものだろうか?