ストのためセットなしでの公演
パワーアップしてバランスのとれたBキャストだった。
ヨンチェヴァの瑞々しく力強い声がバスティーユの空間を満たす。声に幅と深みがあり、聞き応え抜群。しかし、しかし…活き活きしていてルチアの薄幸感というか、脆さが微塵も感じられない。そして最初から最後まで何かにチャレンジしているようで不自然な感じがしてしまうのは若さ故か…。声だけ聴いていると艶やかないい声なので、ルチアよりはエルヴィーラの方が合うのではないだろうか。あるいはジルダとか…。あと最初から最後まで元気がありすぎて不自然なルチアになってしまっている。彼女の声は自身のキャラクターも合わせて健康的な魅力があるので、精神に異状を来して死ぬ役には合わないなぁと感じた。
ペテアン、よく通るベルカント向きな声ですべての音域でコントロールの利いた巧い歌唱。悪人顔も役にピッタリである(笑)。役者としてはおそらくテジエより上手と見た。
ファビアノは今日の敢闘賞。初日のグリゴーロと比べて遜色ないどころか、カーンと突き抜けるようなプロジェクションと無理のない高音(所々フロレス的な輝きが感じられる!)、ぼやけない中音域、そして”ファビアノ”ではなく”エドガルド”であった(これすごく大事だと思う)。チョーフィとのペアで観てみたかった。
この日の公演はストの影響を受けてセットもライティング効果もなく、衣装と小芝居付きのコンサートバージョン。セットやほぼ小道具なしのソリストはもちろん苦労しただろうし、コーラスは歌わない時は椅子に腰掛けていたものの、最初から最後まで舞台上にいたので大変だっただろうなぁ…。
第1部第2部通して舞台上にあったのは、鉄製肘掛け椅子(実際の舞台で使われるもの)1脚とその両脇にコーラスの人々が座っているのと同じ椅子が2脚。2部では木の切り株と斧も置かれるがほとんど使われず。たったこれだけの小道具で準備の時間もそれほどなかっただろうに、想像力を働かせて演じてくれたソリストたちの熱意に心からの拍手をおくった。
George Petean / Enrico Ashton
Sonya Yoncheva / Lucia
Michael Fabiano / Edgardo di Ravenswood
Alfredo Nigro / Arturo Bucklaw
Orlin Anastassov / Raimondo Bidebent
Cornelia Oncioiu / Alisa
Eric Huchet / Normanno
Sonya Yoncheva / Lucia
Michael Fabiano / Edgardo di Ravenswood
Alfredo Nigro / Arturo Bucklaw
Orlin Anastassov / Raimondo Bidebent
Cornelia Oncioiu / Alisa
Eric Huchet / Normanno
PARTERRE 15-29