まぁなんとも感動も逆上もない、平凡なパフォーマンスだったこと…。しいて言えば最後の5分間のみ輝いて終わった花火のパフォーマンス、という感じである。
ラミロ役のミロノフの声はオーケストラの音の向こう側に停まったままで正面のロジュまで届いてこない。これではどんなに彼が超絶技巧をこらした歌唱をしていても、意味がない。オーケストラが大音響でドンチャカやっていたワケではないので、この日は彼の調子が悪かったのか、あるいは届かない声質なのか。いずれにせよとても残念である。それから彼は始終お腹が痛いのを我慢しているような表情をどうにかするべき。
チェネレントラ役のピッゾラートが予想を上回った恰幅の良さで、感情移入するのが難しい。とても元気そうで気の毒な様子には全く見えないし、王子が一目惚れして結婚したくなるような娘のイメージとはかけ離れて(過ぎて)いるのがツラいところ。
アリドーロはどういうわけかよそよそしさが漂いっぱなしで他のソリストとまったく馴染まないし、ダンディーニは芝居がうまいが歌唱がついていかない。
よかったのは予想どおりデ・シモーネのマニフィコ。役を知り尽くしている様子で自在に歌い、演じていた。少し慣れ過ぎかな、と思われる部分もなかったではないが…。
クロリンダとティスベの姉妹、演技をしやすい役で観ていて楽しいが、2人とも歌唱が1本調子になりがちなのはこの役柄からして仕方ないかもしれない。でもクロリンダ役の声がよく届くきれいなものだった。
結局最初から最後まで光っていたのがポネルのセノグラフィと演出。セットはシンプルな書き割りで、最近の巨大セットで驚かせることを狙ったグロテスクさとはかけ離れたもの。衣裳はいかんせん古くさくて、ここは一新したくなるところではある…。
指揮者の意図かロッシーニ独特の軽妙さやリズム感のない面白みに欠ける演奏になっていて、言い方は悪いが妙にきどった演奏だったような気がする。
指揮者もキャストも全部変わる来年の公演が楽しみ(ラミロがシラグーザだし!)。
Riccardo Frizza
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Direction musicale
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Jean-Pierre Ponnelle
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Mise en scène, décors et costumes
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Grischa Asagaroff
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Réalisation
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Michael Bauer
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Lumières
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Alessandro Di Stefano
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Chef de choeur
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Maxim Mironov : Don Ramiro
Nicola Alaimo : Dandini
Bruno De Simone : Don Magnifico
Claudia Galli : Clorinda
Anna Wall : Tisbe
Marianna Pizzolato : Angelina
Adrian Sâmpetrean : Alidoro
Bruno De Simone : Don Magnifico
Claudia Galli : Clorinda
Anna Wall : Tisbe
Marianna Pizzolato : Angelina
Adrian Sâmpetrean : Alidoro
☆嵐のシーンでシーズーが出てきて可愛かった!
Orchestre et choeur de l'Opéra national de Paris
1ère loge de face 32 1-2