今夜の西部の娘、ベルティがキャンセルなのでR.Rojasというヒトがアヴァンセーンで歌ってD.Doonerっていう演出家のアシスタントが演技をするんですってー!話に聞いたことはあっても実際こういう場面に遭遇するとは思っても見なかった、何とまあ不可思議な公演を観に行くことか…。(オプティマ席じゃなくてよかったと安堵。)
ベルティ、好みのテノールではないけれど今回はそこそこ評判がいいようなので密かに楽しみにしていたので残念だが、再来週に持ち越し。しかし誰なのこのテノール?まさかアトリエ・リリックから引っぱってきたんじゃないでしょうねー?!
演出もセノグラフィも面白いのに、やっぱりアヴァンセーンで歌われると大変に興を削がれる。助手の芝居が巧いので余計に変な感じ。ジョンソンは舞台の右端にあるカウンターにいるのに声は左端から聞こえるのは感覚的に戸惑うし(いや本当に舞台直近じゃなくてよかった)だいたい歌ってるときウィスキーは飲めないはずだ(笑)。
シュテンメのみずみずしい声(第1幕はそれほど本調子とは思えず、また最高音は出しづらかったのか「準備して」かつ硬い声だったけれど)とプレゼンスが際立ってしまったのはジョンソン役がそういうコトだったので仕方がないが、彼女も演じにくかっただろうなぁ。でも代役氏の方がルックスは数段上だったと思う(笑)。
そしてランスのスグラはこの役にピッタリの容貌で、このキャスティングの中でいちばんはまり役のように見える。ラ・ジョコンダのバルナバよりもこちらの方が似合っているし、役としても面白みがあるだろう。
主役ペアが整わないし、なんだか音楽的にもあまり盛り上がらないし(オケはあんなに大編成だがinspiré感に欠ける)、口元に戻ってくるようなピカリとしたメロディーもない。このくらい面白い演出がついていないと、同じプッチーニ作でもトスカなんかに比べて上演されないのは仕方ないわーと感じた。でもあれだけの大編成のオケをしっかり鳴らしながらもソリストの声がはっきり聞こえるというのはリッツィの腕前が冴えているからでしょうね。演出については次回。
PREMIER BALCON 8-21