コジとはやはり違った世界のモーツァルトを素敵に表現していた指揮&オケ(軽やかな弦はもちろん、木管がハッとするほど美しく歌っていた!)を除いて、あまり面白くない舞台だった。
スタイリッシュなセノグラフィを含めた演出をソリスト達が理解しないまま舞台に立っているように見える。あるいは演出自体が難解なことにともなうレペティション不足でこうなってしまったのか…。コーラスの演技に違和感はないが、ソリスト達の動きはバラバラで意味がないように感じられるし、最初の方は歌唱もそれぞれが勝手に自分のパートを歌っているようで全く統一感がなかった。
これがそれぞれのリサイタルだとして、ひとつ1つの歌唱を取り出してみれば良いものだろうに(始終音が少しずつずれていたようなアンニオ役は除いて)作品としてのまとまりが感じられないのは残念。やあっぱり演出の問題かなぁ…。
セスト役のドゥストラックは熱意が伝わってきて悪くなかったのだけれど「エクスのコノリー、良かったのよねー(彼女はルックスもカッコ良かったし!)」という意識を払拭するには至らず。
意外だったのが(と言っては全く失礼だが)ティートのピルグ。明るくかつ暖かみもある声で若く素直な(まだ政治の駆け引きなど知らないような)皇帝を無理なく歌い演じていた。他の役でも聴いてみたい歌い手。
それからあの大理石に見立てた巨大な角柱が徐々に頭部になっていく様子。あの茶色い厚紙でできたような王冠、斜めにしつらえられた舞台、これらも謎だった。エクスのティートはまた観たいと思うが(ティートはクンデではなくピルグでお願いします)このプロダクションはそう思わないなぁ。
TOMAS NETOPIL Direction musicale
WILLY DECKER Mise en scène
JOHN MACFARLANE Décors et costumes
HANS TOELSTEDE Lumières
SAIMIR PIRGU Tito Vespasiano
TAMAR IVERI Vitellia
MARIA SAVASTANO Servilia
STÉPHANIE D'OUSTRAC Sesto
HANNAH ESTHER MINUTILLO Annio
BALINT SZABO Publio
BALCON 180-182