2013/03/02

Falstaff / ファルスタッフ(2013年3月2日 @Opéra Bastille)




マエストリの素晴らしいこと!!!ファルスタッフを歌い演じるために生まれてきたか、あるいは役柄と自らの可能性を知り尽くしているとしか思えないパフォーマンス。たっぷりした質感の、届く声でのピアニシモからホールを満たすフォルテシモまで自在のコントロールと、感情を細かく伝える声のニュアンスの上手さに演技の上手さが加わって、今最高のファルスタッフではないだろうか。
次点はナンネッタ役のツァラゴヴァ。私としてはめったにないことだが、声の美しさにただただ感動。フェントンのファナーレは他のソリストに比べて力強い声ではないけれど、ナンネッタのBF役としてはピッタリ。
コメディなのに威風堂々な演奏で、ワグナー風な音の印象を受けたのが面白かった。イタリアのコメディなんだからもう少し弾けた感じ、あるいはヴェルディの最後の作品だからもっと肩の力を抜いた感じの演奏でも楽しかったと思うのだけれど。コメディ×コメディでtoo muchにならないようにという指揮者の意図かもしれない。
カイウスのラウル・ヒメネスの輝くような声がスポットライトのようにとてもいいアクセントになっていた。彼の若い頃のアルマヴィーヴァを生で聴いてみたかったとしみじみ思う。
やっぱりこういうオペラはプルミエバルコンの方が音(オーケストラ&コーラス)がよく聞こえる。歌手の表情や細かい演技等々はオペラグラスがないと見えないけれど。
ファルスタッフはコメディア・リリカで「うわー、感動!」みたいなシーンはないけれど、鑑賞後にとてもスッキリ軽快な気分になるのがいい。

Daniel Oren
Direction musicale
Dominique Pitoiset
Mise en scène
Alexandre Beliaev
Décors
Elena Rivkina
Costumes
Philippe Albaric
Lumières
Patrick Marie Aubert
Chef de choeur

Ambrogio Maestri / Sir John Falstaff
Artur Rucinski / Ford
Paolo Fanale / Fenton
Raúl Giménez / Dottore Cajus
Bruno Lazzaretti / Bardolfo
Mario Luperi / Pistola
Svetla Vassileva / Mrs Alice Ford
Elena Tsallagova / Nannetta
Marie-Nicole Lemieux / Mrs Quickly
Gaëlle Arquez / Mrs Meg Page

Orchestre et choeur de l'Opéra national de Paris

1er Balcon 3 10-12