2012/10/21

La Fille du Régiment / 連隊の娘 ② (2012年10月21日@Opéra Bastille)




今日の観賞後の一言は「生きててよかった!」
初日の時に上から見下ろして確認して想像していた通り、今日はこのプロダクションに関して言えばこれ以上は望めようもないほどいい席での鑑賞となりました。
クール側(偶数番号の席)の観客はかなり欲求不満が残ったのではないかしら、と思われるほど(もちろん演出&フロレス自身の癖もあるでしょうが)ジャルダン側(奇数番号の席)には大サービスという感じで、心ゆくまでフロレスの歌唱を堪能いたしました。なんと言ってもトニオがですね、真正面20mくらいのところからワタクシの方に向かって手を差し伸べて"Ah, mes amis"を歌ってくれる(ように見える)のです!!!思わず立ち上がって舞台に向かって手を差し伸べたくなるのを一生懸命堪えましたが…。
多分この列より前になるとアリアは頭上を通過してしまうんじゃないかなと思います。でもどの演目でもここら辺がいいかというとそうではなくて、例えばあのグランディオーズなセット&演出のホフマン物語は15~19列目の真ん中あたりのほうがずっとよく舞台を楽しめます。それにしても、後から取った27日の席を変更してもらって本当によかった。最初にとった席はクール側だったので、悔し涙にくれたであろう可能性が大です。
初日よりもソリスト達はスムーズな波にのった感じでしたし、フロレスも声の硬質感がとれてそれはもう艶やかかつボリュームのある、輝く美しいアリアを聴かせてくれました。この中音域の濃密感というのはROH公演の頃には感じられなかったものですね。今後「天使に祝福された声」と言われる彼の声がどのように進化していくのかとても楽しみです。
オペラ全体としては今日の公演の方がコンプリート感があって充分に堪能できましたが、初日に受けた雷に打たれたようなあの衝撃を感じられなかったのは当然のことかもしれません。
こういう感動はそのまままるまる自分の心に取りこんで、分析などはあまりしないようにするのがいいのかもしれません。分析して言葉にしていくほど、自分が感じた本質から離れていくような気がして「あれ?そうだったかナ?」と実に不要な疑問が湧いてきたりするものですから…。