2012/11/16

I Puritani / 清教徒(2012年11月16日 @Théâtre des Champs-Elysées)




何と言ってもスパニョーリを楽しみに行ったのだが、ペレチャツコの魅力いっぱいのコンサートだった。
密度のあるなめらかな高音+流れるようなレガート+珠を転がすようなコロラチューラに加えて
明るく輝く声質。おまけに(ここ重要)とても可愛い!

前半の「アルチューロと結婚するの、嬉しいワ〜♡」という感情と、後半の「悲しい、裏切られたのね、嘘よね、ホントかしら?」という感情の違いが演出なしで感じられるのだからすごい。
来シーズンのONPの清教徒はドゥセとフロレスというプロノスティックがあるが、ドゥセがどんなに演技派だといっても今の声の状態でエルヴィーラを歌うのは無謀だとおもう。できればペレチャツコで観たいワタシ…。

アルチューロはロシア人のディミトリ・コルチャク。彼の声はロシア人独特のビロード感のある声ではなくて、あくまでも明るくボリュームのあるものだ。が、美声と言えるのは20%程度で、あとは力任せに歌っている。ナポリ歌謡を屋外で歌って入るんじゃないんだから、うまくコントロールしてもっとニュアンスをつけて欲しいところ。
でも彼は研磨して輝きはじめたダイヤモンドの原石のように感じる。これから無理をせずにキャリアコントロールをしながら経験を積んでいけば、イタリア語のディクションもよいし、よいベルカンティストになると思う。
ただフロレスのような「天使に祝福された声」を持つことができるかどうかはまた別の次元の話だろう…。

そして楽しみにしていたスパニョーリの声を聴けて満足だった!
が、彼の声は太陽の光をうけたように明るく、真面目に歌ってもよい意味での陰鬱さというものがない。だからリッカルドのようなシリアスな役柄とは乖離感がある。ちょっと残念だなあと感じたところ。

しかし、オーケストラははっきり言ってしっちゃかめっちゃかだった。練習不足かもしれないし、あるいはスキゾフレニー的な指揮を繰り広げたピドのせいかもしれない。先日聴いたばかりのONPのトスカがあまりにもすばらしかったので、落差が激しかった。



Evelino Pidò  direction
Olga Peretyatko  Elvira
Dmitry Korchak  Lord Arturo
Pietro Spagnoli  Sir Riccardo Forth
Michele Pertusi  Sir Giorgio Walton
Rame Lahaj  Sir Bruno Robertson
Daniela Pini Enrichetta di Francia
Ugo Guagliardo Lord Gualtiero Walton
Orchestre de l’Opéra de Lyon
Chœur de l’Opéra de Lyon  direction Alan Woodbridge