2012/11/28

Récital Luca Pisaroni (2012年11月28日 @Amphythéâtre)

Franz Schubert
Mélodies sur des poèmes de Pietro Metastasio (D 902)
Il modo di prender moglie
L’incanto degli occhi
Il traditore deluso

Gioacchino Rossini
La promessa (Pietro Metastasio)
Il rimprovero (Pietro Metastasio)
L’esule (Giuseppe Torre)
L’ultimo ricordo (Giovanni Antonio Luigi Redaelli)
L’orgia (Carlo Pepoli)

Giacomo Meyerbeer
Sie und ich (Friedrich Rückert)
Die Rosenblätter (Wilhelm Müller)
Die Rose, die Lilie, die Taube (Heinrich Heine)
Hor’ich das Liedchen kingen (Heinrich Heine)
Lied des venezianischen Gondoliers (Michael Beer)
Menschenfeindlich (Michael Beer)

Franz Liszt
Im Rhein im schönen Strome, S. 272 (Heinrich Heine)
Vergiftet sind meine lieder
,  S. 289 no. 3 (Heinrich Heine)
Es rauschen die Winde
, S. 294 (Ludwig Rellstab)
O Lieb’
, S. 298 (Ferdinand Freiligrath)
Die Vätergruft
, S. 281 (Johann Ludwig Uhland)
Tre Sonetti di Petrarca, S. 270a
Pace non trovo
Benedetto sia’l giorno
I’ vidi in terra


Luca Pisaroni Baryton
Justus Zeyen Piano


(うーむ、今日は朝から調子がよくないが20時からバスティーユのアンフィでピサローニのリサイタル。)



いや、ピサローニ、いいですワ!衣裳もセットも演出もないのに、声だけであれだけさまざまな感情を表現できるんだから。
ただ途中までいい意味の尊大さや近寄り難い悲壮感などが感じられないので(ステファンと比べて)、そういうキャラクターの歌い手なのかと思っていたら、3つのペトラルカのソネットは、壮大な風景画のような歌を聴かせてくれた。
若いからといって無茶なスケジュールを組まず、無謀にレパートリーを広げず、大事に声を熟成させていってほしい。いい意味での暗さが出てくるとさらにいい歌い手になるはず。
対訳歌詞入りのパンフレットがついて25€だなんて、信じられん。座席指定無しなのでオペラやバレエと同じ感覚で言ったら真横の席になってしまったけれど、400席くらいのアンフィなのでインティメートな雰囲気が感じよかった。
今まで気づかずにいて悔やまれる…これからはもっと活用する!

何故いままで気づかなかったかというと、アンフィのコンサート&リサイタルはコンヴェルジャンスのページに載っていたから。コンヴェルジャンスのページなんて開いたことなかったからなぁ…。

それにしても、出かける前は具合が悪くなったら途中で帰ってくればいいやと思っていたのに、リサイタルが始まるや否や不調感は雲散霧消してしまった。おそるべき舞台の力!

2012/11/16

I Puritani / 清教徒(2012年11月16日 @Théâtre des Champs-Elysées)




何と言ってもスパニョーリを楽しみに行ったのだが、ペレチャツコの魅力いっぱいのコンサートだった。
密度のあるなめらかな高音+流れるようなレガート+珠を転がすようなコロラチューラに加えて
明るく輝く声質。おまけに(ここ重要)とても可愛い!

前半の「アルチューロと結婚するの、嬉しいワ〜♡」という感情と、後半の「悲しい、裏切られたのね、嘘よね、ホントかしら?」という感情の違いが演出なしで感じられるのだからすごい。
来シーズンのONPの清教徒はドゥセとフロレスというプロノスティックがあるが、ドゥセがどんなに演技派だといっても今の声の状態でエルヴィーラを歌うのは無謀だとおもう。できればペレチャツコで観たいワタシ…。

アルチューロはロシア人のディミトリ・コルチャク。彼の声はロシア人独特のビロード感のある声ではなくて、あくまでも明るくボリュームのあるものだ。が、美声と言えるのは20%程度で、あとは力任せに歌っている。ナポリ歌謡を屋外で歌って入るんじゃないんだから、うまくコントロールしてもっとニュアンスをつけて欲しいところ。
でも彼は研磨して輝きはじめたダイヤモンドの原石のように感じる。これから無理をせずにキャリアコントロールをしながら経験を積んでいけば、イタリア語のディクションもよいし、よいベルカンティストになると思う。
ただフロレスのような「天使に祝福された声」を持つことができるかどうかはまた別の次元の話だろう…。

そして楽しみにしていたスパニョーリの声を聴けて満足だった!
が、彼の声は太陽の光をうけたように明るく、真面目に歌ってもよい意味での陰鬱さというものがない。だからリッカルドのようなシリアスな役柄とは乖離感がある。ちょっと残念だなあと感じたところ。

しかし、オーケストラははっきり言ってしっちゃかめっちゃかだった。練習不足かもしれないし、あるいはスキゾフレニー的な指揮を繰り広げたピドのせいかもしれない。先日聴いたばかりのONPのトスカがあまりにもすばらしかったので、落差が激しかった。



Evelino Pidò  direction
Olga Peretyatko  Elvira
Dmitry Korchak  Lord Arturo
Pietro Spagnoli  Sir Riccardo Forth
Michele Pertusi  Sir Giorgio Walton
Rame Lahaj  Sir Bruno Robertson
Daniela Pini Enrichetta di Francia
Ugo Guagliardo Lord Gualtiero Walton
Orchestre de l’Opéra de Lyon
Chœur de l’Opéra de Lyon  direction Alan Woodbridge

2012/11/03

Tosca / トスカ (2012年11月3日 @Opéra Bastille)


Te Deum の素晴らしかったこと!
カウフマンがカヴァラドッシ役ののDVDで予習をしていたので、マルコ・ベルティがトドみたいで幕開けからヴィジュアル的にまず幻滅。絵を描くために組んである足場を踏み抜くのではないかという危惧さえ抱かせます。
そればかりでなく、第1幕第2幕とフロレスの3倍はあろうかと思われる大声でブルドーザーの如くゴリゴリとニュアンスのない一本調子で歌い続けるので大分辟易しました。バスティーユのあのホールにわんわん響くような大声ですよ。独唱リサイタルあるいは同じく大音響のソリストとコンサート形式で出るのがいいんじゃないでしょうかね。そして彼は演技者としては大根役者と言ってさしつかえないレベル。それがパワフルな歌唱に合った熱演なので「大根役者の熱演」という、観客としては「参っちゃうなぁ…」と困惑してしまうような結果になったのが残念です。
でも残念なことばかりではもちろんなく、いいところがあって。それはベルティはイタリア人なので、当然ながらイタリア語の歌い回しがいいこと(これとても大事!)。あと第3幕目のアリアはバッテリー切れだったかして(自分でコントロールしたのかも知れません)ぐっとトーンダウンしたため、その分声に陰影が出ると共に歌唱に深みが増して、共感できるカヴァラドッシに変身していました。


トスカ役のセラフィンはよく通る美しい声で、舞台上のプレゼンスもタイトルロールとしてしっかりしています。でも歌唱も演技もあまり強い印象を残すものではないのは彼女自身のキャラクター不足ということでしょうか。来年のヴァルキリーでジークリンデにキャスティングされていますが、このトスカがどんなジークリンデになるのか楽しみでもあります。
ミュルザエフのスカルピアはいかにもサディックな悪代官(あるいは悪徳廻船問屋)の顔になっていますが、どういうわけか歌い方と演技から善人さがにじみ出ていて少し残念な感じ…。声はロシア系独特のベルベット風というかスモーキーな美しい声で、スカルピアの冷酷で邪悪な役どころに合うかといわれるとちょっと「?」という気がします。彼は来年ラ・ジョコンダでこれも極悪人のバルナバにキャスティングされています。
不思議に感じたのがセノグラフィと衣裳がちぐはぐだったこと。舞台装置は巨大ながらもシンプルで光の使い方も美しいのに、衣裳が古くさくて貸衣装のように見受けられました。舞台装置と衣裳は同じ人が担当しているのに全然馴染んでいないというところに何か狙いがあったのでしょうか。
しかし、しかし、何をおいてもさまざまな「?」や「…」をことごとく翻してくれたこのプッチーニの音楽、それをここまで美しく聴かせてくれたオーケストラとコーラスに心から感謝。いえ本当にONPのオーケストラにここまで感動したのは初めてです。

Paolo Carignani
Direction musicale
Werner Schroeter
Mise en scène
Alberte Barsacq
Décors et costumes
André Diot
Lumières
Patrick Marie Aubert
Chef du Choeur
Martina Serafin : Floria Tosca
Marco Berti : Mario Cavaradossi
Sergey Murzaev : Scarpia
Nicolas Testé : Cesare Angelotti
luciano Di Pasquale : Il Sagrestano
Simeon Esper : Spoletta
Michal Partyka : Sciarrone
Christian Tréguier : Un Carceriere

Orchestre et choeur de l'Opéra national de Paris
Maîtrise des Hauts-de-Seine / Choeur d’Enfants de l’Opéra national de Paris