新国立劇場で全幕のオペラを観るのは初めて。約1800席とガルニエより100席ほど少なめだが、これ以上巨大なホールにすると満員にするのが難しいのかもしれない。落ちついた雰囲気のホール。
サレムクールの指揮は前奏曲からテンポが遅くて少々モッタリした印象。前奏曲はもう少し速めでチャーミングにしてワクワク感を上げた方が好みなので、ここはちょっと残念だった。そして全体に渡ってテンポを変えることが多いように感じたが、それがドライブ感のよさにつながらないのはオーケストラとのコンプリシテがないためかもしれないと思った(初めての客演なのかも)。
今日が初日にも関わらず、シラグーザは「ちょっと肩の力を抜き過ぎじゃありませんか?」と尋ねたくなるくらい楽々自然体で歌い演じているように見受けられた。この役でデビューしてこれまで数えきれないくらい演じていて今更何をどうこうする必要もないのだろう(笑)。でも本音としてはほんの少しピリッとしたところを感じたいなと思ったが、これはファンのワガママでしょうナ。
コーラスがいろいろな点で驚くほど上手。でもその綺麗に仕上げられた枠の外にまで溢れて(はみ出して)こちらに迫ってくることがなくて物足りない気も。
本をメインモチーフにした(トリスタンとイゾルデの物語が底流にあるので)セノグラフィがとてもよかった。Elisirの文字の使い方が面白く、照明での雰囲気の変え方に無理がない。
公演とは全然関係ないけれど、この新国立劇場のプログラムのデザインが酷い。表紙に情報と色とフォントを詰め込み過ぎ。